「蟹の惑星」はカニづくし
「蟹の惑星」ってどんな映画なんですか?とよく聞かれます。
「蟹の惑星」は多摩川河口の干潟で15年に渡ってカニを観察し続けている吉田唯義さんとカニたちの驚くべき営みを見つめていくドキュメンタリー映画です。
その内容を“カニ”というキーワードでくくって紹介してみます。
カニたちの意外に知られていない体の機能、例えば「えら呼吸のカニがなぜ陸上でも活動できるの?」とか、「カニはどうして泡をふくの?」とか、カニへの素朴な疑問を解き明かしていきます。
さらに「蟹の惑星」はカニたちのカーニバルを描きます。
なんと、カニも踊るんです。それも集団で。
ハサミを激しく上下に動かし一斉にダンスをする様は、まるでカーニバル。
どうしてそんなことをするのか、その秘密を吉田さんが語ります。
自然界は楽しいことだけではありません、弱肉強食の厳しい世界です。
なので「蟹の惑星」にはカニバリズムもあります。
つまりは共食いです。
カニは同じ仲間どうしでも共食いをします。
干潟という過酷な環境で生き抜いていくためには、時のこのような非情な行為もせざるを得ないのです。
映画もそこからは目をそらしません。
そしてほかにも…。(すみません、早くもダジャレのネタが尽きました。)
その他にも、カニの様々な営み…例えば子孫を残すための交尾や産卵、新たな命の誕生、さらに宇宙との不思議な結びつきなど、様々な視点からカニたちを描いています。
そしてカニたちが暮らす干潟の環境についても、私たち人間の歴史や営みが大きく影響していることを、吉田さんが貴重な証言として話してくれます。
おそらくこれはこの映画で初めて明らかにされることだと思います。
さあ、あなたも「蟹の惑星」へ降りたってみませんか。
村上浩康(製作・監督)