なぜ?「蟹の惑星」というタイトル
今日は映画のタイトルについて書こうと思っておりました。
でもすみません、これから「東京干潟」のマスコミ試写会があり、
さらにその後に新聞の取材、夜はネット配信の映画番組の出演と
何かと立て込んでおりますので、「蟹の惑星」のタイトルの由来を少しだけ記述したいと思います。
(試写会や取材、番組出演などについてはいずれご報告いたします)
「蟹の惑星」というタイトルを聞いて皆さんはどう思いますか?
きっと「猿の惑星」のパロディか何かだと思われるでしょう。ふざけたタイトルだと感じる方もいるでしょう。
もちろん私の頭の中には「猿の惑星」というワードが、あの作品の強烈なラスト(1968年の第1作目のことですが)と共に深く記憶に刻まれています。
なのでここからタイトルを着想したことは事実です。
でも、「蟹の惑星」は「猿の惑星」とは何の関係もありません。
「蟹の惑星」は私が初めて干潟を訪れ、そこで見た光景から自然に頭に浮かんできたワードなのです。
干潟に来て、まず目についたのはカニでした。
干潮と共に潮が引いて干潟が出ると、地面の下から(巣穴から)無数のカニたちが姿を現します。
瞬く間に干潟はカニだらけです。
彼らはエサを求めて泥をついばみながら、少しずつ移動していきますが、その様子を遠くから眺めると、まるで地面が動いているかのようです。
それくらいカニが密集しているのです。
そしてその干潟の向こうにはビルやマンション、高圧鉄塔など都会の街が広がっています。
カニで一面の干潟と無機質で人気のない都市の景色を同時に眺めると、まるでこの星にはカニしか生息していないのかと錯覚してしまいます。
「ここは蟹の惑星だ…」
その時は無意識に頭に浮かんだ言葉でしたが、吉田さんと出会い、カニの撮影を進めていくうちに、この言葉がまんざら根拠のないことではないとわかってきました。
実はカニの生態が、地球や月の天体運動と結びついていることが明らかになってきたのです。(そもそも干潟自体がそうなのですから)
このことについては、映画の中で吉田さんが詳しくお話をなさっているので、ぜひスクリーンで確かめてください。
もちろん映像でもその生態をじっくり捉えておりますので、ご期待ください。
以上のように、最初に浮かんだインスピレーションが結果として内容的にも当てはまり、「蟹の惑星」というタイトルになりました。
さてもう一本の「東京干潟」ですが、このタイトルについても、私の個人的な映画への思いが託されています。
このことについては、また明日書くことにします。
村上浩康(製作・監督)